スマホカメラの HDR とは? 革新的な「Live HDR+」についても詳しく解説
スマホカメラの HDR とは? 革新的な「Live HDR+」についても詳しく解説

スマホカメラの HDR とは? 革新的な「Live HDR+」についても詳しく解説

2023.03.29

スマホカメラの HDR とは? 革新的な「Live HDR+」についても詳しく解説

HDR は、明暗差の大きな場所などでも綺麗な映像を撮ることができる機能です。HDR 機能を搭載したスマホカメラを活用すれば、広範囲の明るさを再現可能で、映像の表現力を高められるでしょう。本記事では、スマホカメラの HDR 機能の概要や役立つシーン、実際に撮影した写真の例や Google Pixel に搭載されている革新的な「Live HDR+」について解説します。

スマホカメラの HDR 機能とは

HDR とは「High Dynamic Range(ハイ ダイナミック レンジ)」の略称で、通常のダイナミックレンジよりも、広範囲な明るさを表現できる機能を指します。最近では多くのスマホカメラに搭載されており、Google Pixel シリーズ(Google Pixel 4 以降)では「Live HDR+」という機能で、よりハイクオリティな HDR 撮影が可能です。

撮影におけるダイナミック レンジとは、カメラが再現できる明るさの範囲のことで、その範囲を超えると白飛び(明るい部分が真っ白に写ること)や、黒つぶれ(暗い部分が真っ黒に写ること)が起こってしまいます。一方で、HDR では異なる露出で画像を連続撮影し、それらを合成することで、表現力の高い映像を作り出せます。

露出とは、映像を撮るときに取り込む光の量のことで、写真や動画の明るさを決める要素の一つです。明るさは映像の大事な要素のため、明暗差の大きな場所だと、どこに露出を合わせるか迷うことがあるかもしれません。

HDR 機能を使って撮影すると、露出の異なる複数枚の写真を撮影して合成します。結果として白飛びや黒つぶれの少ない映像を撮ることができます。

スマホカメラの HDR 機能とは

HDR 機能が役立つシーン

HDR 機能は明暗差が大きな場所で特に有効です。ここでは、Google Pixel のカメラで HDR 撮影をした写真を例に、具体的に役立つシーンを紹介します。

【暗い室内から明るい外が見えるシーン】

明暗差が大きな場所で有効な HDR 撮影は、たとえば「カフェなどの店内」と「窓の外の日差しが強い風景」を同じ写真に収めたいシチュエーションなどで役立ちます。

HDR 機能を搭載していないスマホカメラで撮影すると、店内の暗い部分に露出を合わせた場合は、多くの光を取り込むよう露出が上がるため、窓の外は明るくなりすぎて、白飛びをしてしまいます。逆に外の明るい部分に露出を合わせた場合は、光を取り込みすぎないよう露出が下がるため、店内は暗くなりすぎて、黒つぶれが起こります。

しかし、HDR 機能を搭載したスマホカメラを使えば、それぞれに露出を合わせた写真を同時に撮影して合成するため、外の風景も明るく鮮明で、室内も暗くなりすぎない、バランスの取れた綺麗な写真を撮ることができます。

【太陽を含めたシーン】

光の強い部分での HDR 撮影

こちらの写真は、太陽の位置がはっきりわかる場所で HDR 撮影をしたものです。太陽光が明るい場面でも、建物などをしっかりと写せています。HDR 撮影でない場合、太陽に合わせて露出が下がり、建物や柵などの部分が黒つぶれしてしまうかもしれません。

【空と地上の花などを写したシーン】

空と地上の明暗差が大きい写真を HDR 撮影した写真

こちらは空と地上の花などを写した写真です。このように空と地上の明暗差が大きい場所でも、HDR 撮影であればバランスよく撮影できます。HDR 撮影でなかった場合、露出が空に合わせて下がり、地面の近くや花の影になる部分が黒つぶれしたり、露出が地面や影に合わせて上がり、空が白飛びしたりなどの可能性があります。

これらのような明暗差がある場面で、HDR 撮影は役立つでしょう。

HDR 撮影で風景写真を撮る人たち

Google Pixel の HDR は革新的な「Live HDR+」

Google Pixel は Google が独自に開発した革新的な「Live HDR+」を搭載しています。ここでは、Google Pixel の Live HDR+ の特徴を紹介します。

Google Pixel の HDR は革新的な「Live HDR+」

全自動で綺麗な Live HDR+ とは

記事冒頭で紹介したように、Live HDR+ は Google Pixel 4 以降に搭載されている機能です。リアルタイムで HDR の映像をプレビュー可能で、仕上がりを確認しながら撮影ができます。露出も Google Pixel が適切なものに自動的に調整します。これは、Google Pixel の高い処理能力や機械学習(ML)によって実現しています。

HDR 機能は、状況によってオン / オフの使い分けが必要なときがあります。たとえば、光量の多いところや暗い場所での撮影では HDR をオンにするなど、環境に合わせた判断が求められるでしょう。カメラ撮影に慣れていたり、ある程度の知識があったりしなければ判断が難しい場合もあるかもしれません。

しかし、Google Pixel に搭載されている Live HDR+ なら、難しいことを考える必要はなく、そのまま撮影すれば OK です。Google Pixel が自動的に明暗を判断してくれるため、バランスの取れた美しい映像を撮影しやすいでしょう。

見たまま簡単な Live HDR+ の使い方

Google Pixel の Live HDR+ は、複雑な設定をせずに使えます。最初からオンになっているため、カメラを起動して撮影するだけで、明暗のバランスが取れた綺麗な映像を撮ることができるでしょう。

撮影をする中で「表示された映像をもう少し明るく(暗く)調整したい...」と思う場面も出てくるかもしれません。たとえば、あえて白飛びをさせることによって神秘的な雰囲気を作ったり、暗さを強調させて引き締まった空気感を演出するなど、意図的な露出のコントールが必要な場合などです。そのようなときは「デュアル露出補正」機能が役立つでしょう。

デュアル露出補正は、シャドウ(映像の暗い部分)とハイライト(映像の明るい部分)を個別に調整できる機能です。調整した結果もリアルタイムに反映されるので、完成する映像を確認しながら撮影できます。Live HDR+ を搭載している、Google Pixel の良さが光る機能だといえるでしょう。

ここからは、Google Pixel の画面を例に、デュアル露出補正の使い方を説明します。

【デュアル露出補正の使い方】

  1. カメラアプリを起動します
  2. 画面をタップすると、右側にスライダーが 2 つ表示されます(横持ちだと上側)
  3. それぞれのスライダーを上下(左右)に動かすと露出を調整できます

まずは、シャドウの値を変更してみましょう。以下の画像の赤枠で囲んである、シャドウのアイコンを下にスライドしてみてください。シャドウ部分が暗くなり、上にスライドさせるとシャドウ部分が明るくなります。下の写真では、背景やグラスの液体など、暗い部分の明るさが変わったのがわかるはずです。

シャドウアイコンを使用し撮影した様子

次に、ハイライトを調整してみましょう。以下の画像の赤枠で囲んである、ハイライトのアイコンを上下させてみてください。アイコンを上にスライドさせるとハイライトが明るくなり、下にスライドさせるとハイライト部分が暗くなります。壁の白さなどが変わったのがわかるはずです。

ハイライトアイコンを使用し撮影した様子

このように Live HDR+ では、画面のプレビューを見ながらシャドウとハイライトを直感的な操作で調整できます。綺麗な映像を自動で撮れるのが Live HDR+ の魅力の一つですが、デュアル露出補正により手動での調整もできるため、映像表現の幅がより広がるでしょう。

たとえば、引き締まった印象の映像を作る方法の一つとしてシャドウを下げたり、あえてハイライトを少し上げて優しい印象の映像を作ったりすることなどが可能です。

HDR 機能を活用して、バランスの取れた映像を気軽に撮影しよう

綺麗な写真や動画を手軽に撮りたいときは、HDR 機能が搭載されたスマホカメラを使うと便利です。白飛びや黒つぶれが少ない、明暗のバランスがよい映像を撮ることができるでしょう。

また、Google Pixel の Live HDR+ なら、どのようなシーンでも簡単に美しい映像を撮れるはずです。リアルタイムで映像を確認しつつ、デュアル露出補正を使えば、撮影者の意図をより反映させた写真や動画を撮影しやすくなります。ぜひ HDR 機能を搭載したスマホカメラを使って、撮影を楽しんでください。

※本記事で紹介した内容は、Android のバージョンや機種によって異なる場合があります。

※本記事は、2023 年 1 月時点に Google Pixel 6(Android 13)で検証しました。

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