スマホの回線速度とは
回線速度とは、1 秒間にやりとりできるデータ量を指します。スマホの回線速度もまた、モバイル ネットワークや Wi-Fi を使うときにやりとりできるデータ量の目安です。
回線速度には「上り」「下り」と表現される 2 種類があります。上りとは、データをクラウド サービスなどのサーバーへアップロードするときの速度です。下りは、クラウド サービスやサーバーからデータをダウンロードする速度を指します。スマホでメッセージをやりとりするシーンで解釈するならば、メッセージを送信するのが上り回線、受信するのが下り回線です。
たとえば、上りの回線速度が遅いと、写真を送ったり、クラウドへアップロードしたりする際に時間がかかります。また、下りの回線速度が遅いと、ウェブサイトの表示が遅くなったり、動画の読み込みに時間がかかったりします。上りと下りの回線速度が速ければ、ストレスのない速度でコンテンツを利用できるでしょう。
「bps」ってなに?
回線速度には「bps(bit per second)」という単位が使われます。1 秒間でどのくらいのビット数を転送できるかを表す単位です。「bps」の前には K(キロ) や M(メガ) 、G(ギガ)が表記されます。これは、ビット数の単位で、それぞれの大きさは以下のとおりです。
- 1 Kbps = 1,000 bps
- 1 Mbps = 1,000,000 bps
- 1 Gbps = 1,000,000,000 bps
つまり、数値と単位が大きいほど回線速度が速くなります。
スマホで利用する通信方法の種類
スマホでは、主に 2 種類の通信方法を利用します。それが、モバイル ネットワークと Wi-Fi です。
モバイル ネットワーク
モバイル ネットワークとは、モバイルデータ通信を行うために利用します。主に、通信事業者と契約して利用する通信です。電波が入る場所ならば通話やデータ通信が利用できます。通信には 4G や 5G などがあり、利用できる通信の種類によって回線速度が異なります。4G よりも 5G の方が高速通信が可能です。
Wi-Fi
Wi-Fi は、主に Wi-Fi ルーターが設置してある建物内やその周辺をカバーする範囲で利用できる通信です。スマホの Wi-Fi 設定をオンにして、利用したい Wi-Fi を選択してパスワードなどを入力することで利用できます。Wi-Fi の通信速度は、Wi-Fi ルーターの性能や接続されているデバイスの台数などに左右されることがあります。また、Wi-Fi ルーターの上流にある固定回線(光回線など)の速度にも影響を受ける場合があります。
スマホの回線速度の目安
それでは、スマホを快適に利用するための回線速度はどのくらいなのでしょうか。ここでは、シーン別にその目安を紹介します。
メッセージを利用する場合
スマホでメッセージ アプリやメールを利用する場合、 3 Mbps 以下の回線速度でもスムーズに利用できるでしょう。具体的には、テキストのみの送受信は 1 Mbps 程度でもやりとりは可能です。ただし、スタンプや写真、ビデオ通話などをする場合には 1 Mbps から 3 Mbps では足りない可能性もあります。
動画を観る場合
スマホで動画を視聴する場合に必要な速度は、視聴する際の解像度によって異なります。たとえば、標準画質の動画をストリーミングするには 3 Mbps 以上のやや低速な回線でも視聴可能ですが、HD 動画を視聴するならば 7 Mbps 以上の速度が必要でしょう。また、複数のデバイスで HD 動画を安定して視聴するためには 25 Mbps 以上の速度があると安心です。さらに高画質な 4K 動画を視聴する際には、50 Mbps から 100 Mbps 以上の回線速度を目安とするとよいでしょう。
テレビ電話(オンライン会議)をする場合
スマホでテレビ電話やオンライン会議などを行う場合には、上りは 1 Mbps 以上、下りは 50 Mbps から 100 Mbps 以上の回線速度を目安にするとよいでしょう。複数人で利用する際にはできるだけ速い回線速度を確保することで、映像や音声が安定する可能性が高くなります。
オンライン ゲームをする場合
スマホのオンライン ゲームには多くの種類があります。ひとりでプレイするものから複数人でプレイできるゲーム、グラフィックの高い作品などさまざまです。たとえば、ひとりでプレイできるものでも解像度の高い映像のゲームや、複数人でプレイするゲームならば、100 Mbps 以上の回線速度があると安心でしょう。特に、リアルタイムでの対戦ゲームなどでは、回線速度が勝敗を左右する可能性も高くなるので、オンライン ゲームをする際には回線速度も意識しておくとよいでしょう。
スマホの回線速度が遅くなる原因
スマホの回線速度が遅くなる原因はさまざまですが、ここでは速度低下の要因となり得る 3 つについてみていきましょう。
モバイル ネットワークの問題
スマホの回線速度の低下には、まずモバイル ネットワークの問題が考えられます。
たとえば、通信事業者(大手キャリアや MVNO など)による通信速度の調整などが考えられるでしょう。契約しているプランのパケット上限を超過した場合には速度制限がかかる場合がありますし、時間帯によってはデータ通信をしているユーザーが多くなり、混雑時の制限などがかけられることもあります。また、電波の弱い場所では速度低下が起こる可能性もあるでしょう。
このような原因で回線速度の低下を感じた場合は、プランの見直しや時間帯をずらした利用、電波の強度が強い場所に移動するなどで改善する場合があります。
Wi-Fi の問題
Wi-Fi を利用していて速度低下を感じる場合は、Wi-Fi ルーターが原因の可能性があります。また、Wi-Fi ルーターの電波が弱い場所でスマホを使用すると、通信速度が遅くなる場合もあるでしょう。
この場合は、Wi-Fi ルーターの再起動で改善することがあります。電波が弱い場合は場所を移動してみましょう。Wi-Fi ルーターを長年使用している場合は、新しい製品に買い替えることで、電波状況や通信速度が改善するかもしれません。また、使用している LAN ケーブルの規格が光通信回線に合っていない場合も、通信速度が遅くなる可能性があります。LAN ケーブルの見直しも検討してみましょう。
スマホの問題
スマホ自体が原因の場合もありますが、モバイル ネットワークや Wi-Fi の問題に比べると影響は少ないといえます。しかし、スマホの OS アップデートやソフトウェア アップデートなどを行っていない場合は、各アップデートを試してみましょう。また、スマホを再起動すれば Wi-Fi が再接続されるので、問題解決につながるかもしれません。
スマホの回線速度を測る方法
それでは、実際にスマホの回線速度を測る方法をみていきましょう。回線速度の測定は、ウェブサイトで検索するといくつかのサービスが出てきます。
たとえば、Google で「スピードテスト」と検索すれば、「インターネット速度テスト」が上位に表示されますので、「速度テストを実行」ボタンをタップすればすぐに速度測定を開始できます。測定が開始されると、データのアップロードとダウンロードを自動的に試し、上り(アップロード)と下り(ダウンロード)の回線速度が表示されます。
一つ注意したいのは、回線速度を測定する際にはパケットの送受信が行われることです。つまり、モバイル ネットワークを利用するとパケットを消費します。そのため、スマホのパケット利用に関するプランにて利用上限などがある場合は「スピードテストでもパケットを消費する」ことを意識しておくと良いでしょう。
スマホの回線速度が遅くなる原因を把握して速度を改善しよう
スマホを使っていてインターネットが遅いと感じた場合は、ウェブサイトなどで回線速度を測ってみましょう。利用するコンテンツに必要な速度に達していないならば、その原因がなにであるかを探り、ご自身のスマホ利用にあった通信事業者やプランを選びましょう。
※本記事で紹介した内容は、Android のバージョンや機種によって異なる場合があります。
※本記事で紹介した内容は、執筆時(2022 年 8 月)のものです。