スマホのカメラ機能は年々進化しており、本格的な写真撮影が可能になっています。魅力的な写真を撮影するためには、写真撮影やカメラに搭載されている機能などの基礎的な知識を習得するとよいでしょう。本記事では、スマホで写真撮影をする際に役立つ基本的なカメラ用語について五十音順に解説します。
あ行
アスペクト比
画像の横と縦の比率を表す数値のことです。一般的なスマホの写真では 1 : 1(正方形)、4 : 3、16 : 9、などがよく使われます。アスペクト比を変更すると画像の印象が変わるため、目的に合わせて選択するとよいでしょう。
圧縮
画像データのファイルサイズを小さくする処理のことです。データ容量を節約できるため、スマホ本体に保存したり、メールで送信したりするときに役立ちます。圧縮には可逆圧縮(PNG)と非可逆圧縮(JPEG)があり、後者では圧縮率を上げてファイルのサイズを小さくすると、画質が低下することがあります。
アングル
被写体を撮影する際のカメラの位置や向きのことです。目線と同じ高さから撮る「水平アングル(アイレベル)」、上から見下すように撮る「ハイアングル(俯瞰)」、下から見上げるように撮る「ローアングル(あおり)」など、シーンに応じてアングルを工夫することで、被写体の個性や魅力を引き出すことができます。
色温度
光源の色味を数値で表したものです。色温度は「K(ケルビン)」という単位で表され、数値が高いほど青っぽく(寒色系)、低いほど赤っぽく(暖色系)なります。色温度を調整することで、写真の雰囲気を柔らかくしたり、クールにしたりすることができます。
左: 色温度の低い画像 / 右: 色温度の高い画像
遠近感(パースペクティブ)
近くのものは大きく、遠くのものは小さく見えるという視覚的な奥行きの感覚のことです。写真撮影では、被写体に近づいて撮影したり、広角レンズを使ったりすることで、この遠近感を強調できます。この視覚効果を活用すると奥行きが生まれ、写真に立体感を感じさせることが可能です。
か行
画角
カメラのレンズが捉える視野の範囲(実際に写真に写る範囲)を角度で表したものです。画角が広いほど、より広範囲の景色を写すことができ、画角が狭いと遠くの被写体を大きく撮影できます。画角はレンズの焦点距離やイメージ センサーのサイズによって決まります。
画素数
デジタル画像は、画素(ピクセル)と呼ばれる小さな点の集合体で構成されています。画素数とは、1 枚の画像がいくつの画素から構成されているかを表す数値です。画素数が大きいほど、画像はより多くの情報を含むため、より細やかで鮮明な画像になります。
逆光
被写体の後ろから当たっている光、またはそうした状態のことです。逆光で撮影する場合、被写体が暗く写りやすいですが、それによってシルエットを際立たせたり、夕日を背景にすることでドラマチックな雰囲気を作り出せるといった効果もあります。
グリッド線
写真撮影時にプレビュー画面上に表示される縦横の格子線です。写真を撮影するための補助線として使い、構図を整えたり水平や垂直を確認したりしたいときに役立ちます。この線は撮影時の目印として表示されるだけで、実際の写真には写りません。
左: グリット 3 × 3 / 右: グリット 4 × 4
広角レンズ
標準レンズよりも広い範囲を撮影できるレンズのことです。画角が広いため、風景写真や人物の集合写真、建築物の撮影などに適しています。被写体と距離を取れない場合でも広い範囲を一枚に収められ、遠近感が強調されるという特徴があります。
光源
撮影時に被写体を照らす光の発生源のことです。光源には自然光(太陽光や月光)や人工光(照明やフラッシュ)があり、光源の位置や種類、色温度によって写真の雰囲気や被写体の見え方が変わります。
構図
写真の中で被写体をどのように配置するかを指す言葉です。代表的な構図として、三分割法や日の丸構図、対角線構図などがあります。カメラアプリでグリッド線を表示すると、これらの構図で撮影しやすくなります。
コントラスト
写真の明るい部分と暗い部分の差のことです。コントラストを強くすると暗い部分はより暗く、明るい部分はより明るく表示され、メリハリのある写真になります。逆にコントラストが弱いと柔らかく穏やかな印象の写真になります。
左: コントラスト -100 / 右: コントラスト 100
さ行(さ〜しゃ)
彩度
色の鮮やかさを表す度合いのことです。彩度が高いほど色は鮮やかになり、彩度を低くすると色褪せた印象になります。スマホの写真編集では、彩度を調整することで写真の印象を大きく変えることができます。
左: 彩度 -50 / 右: 彩度 50
サムネイル
サムネイルは、縮小表示された画像のことで、親指の爪(thumb nail)が語源です。フルサイズの写真は、等倍で表示するとスマホの画面からはみ出すほど大きいですが、サムネイルとして縮小表示することで一覧性を高めています。
色相(色合い)
色の種類や系統を表す言葉です。赤、青、黄、緑などの色味の違いを表現する際に使用されます。スマホのカメラでは、撮影後の写真編集で色合いを調整すると、写真全体の印象を変更できます。
左: 色合い -100 / 右: 色合い 100
色調
写真全体の色合いやトーンを指す言葉です。色には、暖色系や寒色系、淡い、濃い、明るめや暗めといった色が持つ雰囲気や調子があります。スマホでは、写真撮影時の環境設定にこだわったり、撮影後に写真アプリのフィルタ機能を使って調整したりすることで、手軽に色調を変更することが可能です。
F 値(絞り値)
F 値はレンズの明るさを示す指標で、その数値が小さいほどレンズが多くの光を取り込み、ピントの合う範囲(被写界深度)が狭まります。また、同じ明るさの写真を撮る場合でも、F 値が小さいほどより高速でシャッターを切れたり、より低感度(低 ISO)の設定を使用したりできます。
シャッター スピード
カメラのシャッターが開いている時間の長さです。シャッター スピードが速いほど動いている被写体をブレずに撮影できるため、スポーツシーンやペットなどの撮影に適しています。逆にシャッター スピードを遅くすることによって、光の軌跡や水の流れなど、被写体の動きを表現できます。
シャドウ
写真における暗い部分のことです。スマホの写真編集では、シャドウの明るさを調整できます。たとえば、逆光で暗くなった被写体を明るく補正したり、明暗差が大きい写真の影の部分を見やすくしたりすることができます。
さ行(じゅ〜)
順光
被写体の正面から光が当たっている状態です。被写体にまんべんなく光が当たるため、色や形を忠実に記録することができます。ただし、影が少なくなるため立体感は出にくい場合があります。
焦点距離
カメラのレンズと撮像素子(センサー)の距離のことです。この距離が短いほど広い範囲を撮影でき、距離が長いほど遠くの被写体を大きく捉えることが可能です。
白とび
写真の一部が極端に明るくなりすぎてしまい、真っ白になってしまう現象のことです。白とびが発生すると被写体の色や質感が失われて細部が分からなくなります。晴れた日の空や、強い光が反射している部分などで発生しやすい現象です。
ズーム
被写体を拡大して撮影する機能のことです。スマホカメラには、光学ズームとデジタルズームの 2 種類があります。光学ズームはレンズの動きによって画質を保ちながら拡大でき、デジタルズームは画像の一部を引き伸ばして拡大するため画質が低下する場合があります。
左: 通常 / 右: 2 倍ズーム
セルフタイマー
設定した時間が経過した後に自動的に撮影される機能です。自撮りや集合写真を撮影したいとき、またはスマホを固定して手ブレを防ぎたいときに活用できます。
た行
長時間露光
シャッターを長時間開けることで、センサーに光を多く取り込む撮影技法のことです。夜景や星空のような光の少ない場面での撮影や、走っている車のライトなど、動きのある被写体を撮影したいときに適しています。
手ぶれ
撮影中にカメラを持つ手が揺れることで、被写体や写真全体の輪郭がぶれ、鮮明さが損なわれる現象です。Android スマホでは、撮影時のカメラのブレを抑えるための「手ぶれ補正」と呼ばれる機能が搭載されている場合があります。
トリミング
撮影した写真の一部分を切り取って、構図を整えて画像編集することです。トリミングを行うことで、被写体を際立たせたり、写真の縦横比(アスペクト比)を調整したりすることができます。Google フォト アプリでは、写真を開いて編集モードからトリミング編集を行うことが可能です。
切り抜き(トリミング)加工
な行
ノイズ
写真に発生する粒状や斑点のようなザラつきのことです。高感度(高 ISO)で写真を撮影したときに発生しやすく、ノイズが発生する原因は複数ありますが、シャッタースピードが長い(遅い)ほど、感度設定(ISO)が高いほど、ノイズが発生する可能性が高まります。暗所でのノイズが増えやすいのはこのためです。
は行
ハイライト
写真の中で最も明るい部分のことです。ハイライトを調整することで、白とびを防いだり、黒つぶれした箇所を見やすく整えたりできます。Google フォト アプリを使えば、撮影した写真のハイライトの強弱を手動で調整することが可能です。
左: ハイライト -100 / 右: ハイライト 100
パノラマ撮影
広い範囲の風景を横または縦方向に撮影し、つなぎ合わせる撮影方式のことです。スマホにはカメラの機能として「パノラマモード」が搭載されているものもあります。パノラマモードを使用することで、山々の連なりや街並みなど、広大な風景を 1 枚の写真として記録できます。
被写界深度
カメラで撮影したときに、ピントが合っているように見える範囲のことです。被写界深度が浅いと背景がぼけた写真になり、深いと広い範囲にピントが合った写真になります。スマホではポートレート モードを使用することで、被写界深度が浅い状態を人工的に作り出して背景をぼかすことで、被写体を際立たせた写真を撮影できます。
被写体
撮影の対象となる物や人物、風景などのことです。被写体をどのように配置するかや、どの角度から撮影するかによって、写真全体の印象が大きく変わります。
ピント
カメラの焦点を被写体に合わせることを「ピントを合わせる」と表現します。被写体にピントが合っているとき、被写体は鮮明に写り、ピントが合っていない場合はぼやけて写ります。
フラッシュ
瞬間的に強い光を発して、被写体や周囲を明るく照らす装置や機能のことです。暗い場所での撮影や、逆光で被写体が暗くなりすぎる場面などで使用されます。
望遠レンズ
遠くの被写体を大きく撮影するためのレンズです。焦点距離が長いのが特徴で、スポーツ観戦や運動会などで、離れた場所にいる被写体を拡大して撮影するのに適しています。
ポートレート
人物を主な被写体とした写真のことです。スマホのカメラには、背景をぼかして被写体を際立たせるポートレート モードが搭載されているものがあります。
ボケ効果
写真で背景や前景を意図的にぼかし、被写体を際立たせる撮影技法のことです。周りをぼかすことで、被写体を印象的に強調する効果があり、ポートレートや商品写真でよく使用されます。
ホワイト バランス
被写体の色は光源の色に影響されるため、例えば白い紙であっても環境によって青みがかったり赤みがかったりします。こうした光源による色味の影響を補正するのがホワイト バランスです。ほとんどのカメラアプリでは自動で調整されますが(オート ホワイト バランス)、アプリによっては手動で調整も可能で、撮影者の意図を表現するために変更するケースもあります。
左: ホワイト バランス - 3261 K / 右: ホワイト バランス 8761 K
ま行
マクロレンズ
被写体に接近して撮影できるレンズです。数センチ程度の至近距離から撮影できるため、花や昆虫などの細部を撮影する際にも使用されます。
モノクロ
モノクロ(モノクローム)とは「一つの色」を意味し、写真においては主に白と黒、そしてその中間となるグレーの濃淡だけで構成された表現方法のことです。色数を制限することで、被写体の形や質感、光と影のコントラストが強調され、カラー写真とはまた違った印象を与えることができます。
モノクロ加工
ら行
連写
連続的に複数枚の写真を撮影する機能のことです。スポーツ撮影や走りまわるペットなど、動きの速い被写体の瞬間を捉えたいときに役立ちます。
露出
露出とは、カメラに取り込む光の量のことで、シャッター スピードと絞りによってコントロールされます。スマホでは基本的に自動で調整されますが、手動で露出を上げて明るく表現したり、露出を下げて暗くしたりすることで、写真の印象を変化させることができます。
英数字
AF(オートフォーカス)
カメラが自動的に被写体にピントを合わせる機能のことです。スマホのカメラでは、画面上で被写体をタップするだけでピントを素早く合わせられることが一般的です。
HDR
明るい部分と暗い部分が混在する場面で、両方をバランスよく撮影するための技術です。異なる露出で撮影した複数枚の写真を合成することで、自然な明るさとコントラストを再現します。
ISO 感度
カメラのセンサーが光を捉える感度を示す数値のことです。光に対する感度が上がるため、同じシーンであってもより高速でシャッターを切れるようになったり、より絞りを絞った状態での撮影が可能になったりします。ただし、感度を高くするほどノイズが発生しやすくなります。低い感度ではシャッター スピードを長くする(または F 値をより低くする)必要がありますが、ノイズは発生しにくくなります。
JPEG
デジタル写真を保存するための一般的なファイル形式の一つです。画像データを圧縮することで、ファイルサイズを小さくする技術を使用しています。圧縮によりデータ量を削減できる反面、圧縮率が高すぎると画質が低下する場合があります。
RAW ファイル
カメラのセンサーが記録したデータをほぼ未加工で保存したファイル形式です。劣化を恐れずに詳細な編集が可能です。保持している情報が多いため、ファイルサイズは大きくなります。
撮影の基礎知識を身につけて、スマホカメラを使いこなそう
本記事では、スマホカメラを使いこなすための基礎的な関連用語について、単語別にわかりやすく解説しました。カメラの性能を最大限に引き出すには、用語の意味を正しく理解し、それらを活かした撮影テクニックを身につけることが大切です。
撮影シーンに合わせて設定ができるようになれば、写真表現の幅がさらに広がるでしょう。基礎知識を身につけて、いつもの撮影をよりクリエイティブに楽しんでみませんか?
※本記事で紹介した内容は、Android のバージョンや機種によって異なる場合があります。
※本記事は、2025 年 2 月時点に Google Pixel 8(Android 14)で検証しました。
2024 年 11 月 13 日
2024 年 11 月 13 日