「ホワイト バランス」はカメラ用語で、どの色を白として表現するかを調整することで写真全体の色味を補正する機能です。一般的なスマホを含むデジタル カメラでは、ホワイト バランスは自動で調整されます。一方で、写真の雰囲気や色味を変えたい場合には、手動でホワイト バランスを調整することで、撮影者の意図に沿った仕上がりにできます。本記事では、ホワイト バランスの概要や、Android スマホでの調整方法、ホワイト バランスの調整が役立つシーンについて紹介します。
ホワイト バランスで何ができる?
ホワイトバランスは、写真の色味を決定する重要な要素です。一般的なスマホのカメラには、撮影時に光源の種類に応じて変わる色味を、自動で適切な色合いに補正してくれる「オートホワイト バランス機能」が備わっています。そのため、通常撮影するときに、ホワイト バランスを気にする必要はありません。
一例として、Google Pixel のカメラは、Google AI が被写体やシーンを分析して自動的にホワイト バランスを調整し、自然な色合いを再現するように設計されています。
一方で、下の画像のように、手動でホワイト バランスを変更することも可能です。
左: [ホワイト バランス] の数値を下げた画面、右: [ホワイト バランス] の数値を上げた画面
数字の後ろについている「K」は、光源が持つ色味(色温度)を数値化した単位「ケルビン」を指します。光源の色温度は数値が低いほど赤や黄が強く、高いほど青が強い色合いになります。ホワイト バランスは光源の色温度の影響を補正する機能なので、数値を高くすれば赤みが強く、低くすれば青みが強くなります。
画面を見ながらスライダーを調整するだけで簡単にホワイトバランスを変更でき、写真全体の雰囲気を変えることが可能です。
たとえば、青が強い写真は涼しさ、スタイリッシュさ、クールさなどを、赤や黄が強い写真は温かさ、柔らかさ、レトロさなどを演出できるでしょう。写真の雰囲気を変えたいときは、ホワイト バランスを手動で変更するのも一つの方法です。
Android スマホでホワイト バランスを調整するには?
Android スマホでホワイト バランスを調整するには、撮影時に調整する方法と、後から写真を編集する方法の 2 種類があります。ここでは、それぞれの手順を紹介します。
【撮影時】カメラアプリでホワイト バランスを調整する
Android スマホのカメラアプリでは、ホワイト バランスを調整しながら撮影できます。Google Pixel を例にした手順は以下のとおりです。
- カメラアプリ
を開きます
- 右下の編集アイコン
をタップします
- [ホワイト バランス] をタップします
- スライダー(画像赤枠部分)を左右に動かして、好みのホワイト バランスに調整します
- 撮影アイコン
をタップします
なお、専門的な画像編集ツールでより本格的な写真編集を行いたい方は、RAW / JPEG コントロールをオンに設定するとよいでしょう。画像ファイルが JPEG + RAW 形式で保存されます。
RAW ファイルは、カメラがとらえたままの情報を保存する形式で、主にデジタル一眼レフカメラに採用されています。ファイルサイズが大きい反面、JPEG やその他の画像ファイル形式と比べて明るさや色の濃淡の情報が多く、劣化が少ない状態でホワイト バランスなどの加工を後から行えるのが特長です。
画像の保存形式の設定について詳細は、ヘルプセンターの画像形式を変更する(RAW + JPEG)をご確認ください。
【撮影後】Google フォトでホワイト バランスを調整する
撮影後の写真のホワイト バランスを調整したい場合は、Google フォトの編集機能が便利です。手順は以下のとおりです。
- Google フォト アプリ
で編集する写真を開きます
- 編集アイコン
[調整] をタップします
- [色温度] をタップします
- ダイヤルを動かして効果の強さを調整します
- 編集が終わったら、[完了] をタップします
- [コピーを保存] をタップして完了です
※3 GB 以上の RAM と Android 8.0 以降が搭載されているデバイスを使用する必要があります。
ホワイト バランスで広がる表現例
ホワイト バランスを調整すると、青みが強くなったり、赤み・黄みが強くなったりするため、写真全体の雰囲気を変えることができます。ここからは、[ホワイト バランス] や [色温度] などの機能で写真の表現を広げる例を紹介します。
【風景写真の例】
時間の経過によって空の色が鮮やかに変わる夕焼けの写真など風景写真は、色味を変えることで美しく表現できるシーンのひとつです。
左: 補正前の写真、右: 青みを強くした写真
左の写真は見たままの夕焼けを鮮やかに映し出しています。右の写真は青みを強くしたことで、より透明感のある印象に仕上がりました。
左: 補正前の写真、右: 赤みを強くした写真
反対に、赤や黄を強くすると景色全体が夕焼けのオレンジ色に染まり、幻想的な雰囲気の写真に仕上がります。
【クローズアップの例】
被写体本来の色を強調して、より雰囲気のある写真に仕上げられます。下の写真では、赤みや黄みをより強調させました。色づいた葉の鮮やかさを際立たせています。
左: 補正前の写真、右: 赤みを強くした写真
【夜景の例】
夜景などの光源が写り込んでいる写真は、色味を青くすることで、クールな印象に仕上がります。
左: 補正前の写真、右: 青みを強くした写真
【食べ物がおいしく見える例】
料理の写真では、赤みを強くすることで温かみが加わり、よりおいしそうな印象に仕上げることができます。下の写真の例では、赤みが強くなったことで果物の鮮やかさや生地の焼き色が際立ち、料理の見栄えがよくなりました。
左: 補正前の写真、右: 赤みを強くした写真
ホワイト バランスを調整して写真の表現を楽しもう
ホワイト バランスは、光源の種類による影響を補正する機能で、写真の色味を決定する重要な要素です。一般的なスマホのカメラは自動でホワイト バランスを調整してくれるので、普通に撮影するだけで自然な色を表現できます。
一方で、手動でホワイト バランスを調整して、撮影者の意図に沿った仕上がりに近づけることも可能です。Android スマホでホワイト バランスを調整するには、撮影時のカメラアプリで調整する方法や、撮影後の写真を Google フォト アプリなどで調整する方法があります。
一般的に写真は、青が強くなると、涼しげ、クール、スタイリッシュな印象に、赤や黄が強くなると、暖かさが感じられ柔らかい印象に表現されます。
ホワイト バランスを調整して、写真の表現の幅を広げてみませんか。
※本記事で紹介した内容は、Android のバージョンや機種によって異なる場合があります。
※本記事は、2025 年 2 月時点に Google Pixel 8(Android 15)で検証しました。
2024 年 11 月 13 日
2024 年 11 月 13 日