RAW データとは? JPEG との違いや Android スマホでの撮影・現像(編集)方法を解説

2025 年 12 月 04 日

RAW で写真を撮る人のイメージ

Android スマホのカメラ設定で「RAW」という項目を見かけ、「RAW って何?」「JPEG と何が違うの?」と疑問を持ったことはありませんか。本記事では、RAW と JPEG の違いや Android スマホでの RAW 撮影や閲覧、現像(編集)方法などを解説します。

RAW データの特徴とは?JPEGとの違い

写真のファイル形式には、主に RAW と JPEG があります。それぞれにどのような特徴があるのか、詳しく解説します。

写真を編集する人のイメージ

RAW の特徴

RAW は一眼レフカメラやミラーレス カメラなどで以前から使われてきたファイル形式の一つですが、近年では一部の Android スマホでも扱えるようになってきました。RAW データにはさまざまな種類があり、拡張子(ファイル名の末尾に付く文字列)はカメラメーカーによって異なります。Android スマホでは、主に .dng で保存されます。

RAW(ロウ)は「生の」という意味で、イメージ センサー(レンズから入った光を電気信号に変える装置)が受けた光の情報を、圧縮せずにデータ化したものです。後に説明する JPEG とは異なり、撮影時の細かな明暗や色情報がそのまま記録されるため、撮影後に露出を上げて暗い写真を明るく補正したり、より自然な階調や色合いを引き出したい風景写真などに適した画像ファイル形式です。

RAW データの閲覧と現像(編集)について

RAW データを閲覧するには、Google フォト アプリなどの対応アプリが必要です。また、色味や明るさなどを自分好みに調整する作業は「現像」と呼ばれ、専用のソフトやアプリを使用します。

RAW データが生の食材だとすれば、現像はその食材を調理して食べられる状態にする工程です。現像後に JPEG などの一般的なファイル形式に変換すれば、SNS などを含むさまざまなアプリで表示や共有が可能になります。

RAW と JPEG の違い

JPEG の特徴

JPEG は パソコンやスマホで画像を扱う際に最も一般的に使われる画像フォーマットです。保存時にデータの一部を間引いているため、RAW に比べて微細な明暗差や色情報は保持されにくくなります。そのため、撮影後に明るさや色味を大きく調整しようとしても、もともと記録されていない情報は再現できません。

一方で、JPEG はファイルサイズが比較的小さく、対応ソフトも多いため、撮影後すぐに SNS やメールなどでシェアすることができます。

RAW と JPEG の比較

以下は、RAW データと JPEG を項目ごとに比較した表です。

  RAW JPEG
ビット数 12~16 ビット 8 ビット
色階調 約 4096~65536 階調(12~16 bit) 約 256 階調(8 bit)
データの大きさ 大きい 小さい
保存による画質の劣化 なし ある
ホワイトバランス・露出 調整の幅が広い 調整の幅が狭い
現像 必要 不要

表に記載されている用語の意味は、以下のとおりです。

  • ビット数・色階調: ビット数は、画像内の色情報の細かさを表す単位です。ビット数が大きいほど色階調も増え、より繊細なカラー表現が可能です。階調の数値が大きいほど滑らかなグラデーションになります
  • データの大きさ: 画像ファイルの容量のことです
  • 保存による画質の劣化: ファイルを保存するたびに画質が少しずつ落ちることを表しています
  • ホワイトバランス・露出: ホワイトバランスは、光源の色合いを補正して白を自然に見せるための設定です。露出は撮影時に取り込まれる光の量で、明るさを決める要素の一つです
  • 現像: RAW データを画像として閲覧・編集できるようにすることです(詳しくは「RAW の特徴」をご覧ください)

JPEG は手軽に共有できる点や容量が少ない点が魅力ですが、逆光や夜景など、明暗差や光の色合いが極端なシーンでは、白飛びや黒つぶれなどが起こりやすく、細かい調整が難しくなります。

そのため、暗所や明暗差の大きいシーンや、後から細かく調整をしたい場合は、RAW で撮影するほうがより理想に近い画像に仕上げられるでしょう。

ただし、RAW はデータのサイズが大きいため、JPEG よりもスマホのストレージを多く使用します。RAW 撮影を行う場合は、Google フォトなどのクラウド ストレージの併用も検討しましょう。

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Android スマホで RAW を 撮影、閲覧、現像(編集)、JPEG に変換する方法

ここからは Android スマホで RAW の撮影や RAW データの閲覧、現像(編集)、JPEG に変換する方法について解説します。なお、本記事では Google Pixel を例に手順を紹介します。

花を RAW で撮影する人のイメージ

RAW 撮影をするための設定

  1. カメラ アプリ カメラ アプリ を開きます
  2. 左下にある設定アイコン 設定アイコン をタップして [その他の設定] をタップします
  3. [詳細設定] をタップします
  4. [RAW / JPEG コントロール] をオンにします
  5. 手順 2 の画面で RAW + JPEG が [RAW] になっているのを確認します

以上の操作で、撮影した写真が JPEG + RAW 形式で保存されるようになります。なお、Google Pixel 8 Pro および Pixel 9 Pro では、カメラ アプリを開いた後に設定アイコンをタップ →  [プロ] を選択して [RAW] をタップしてください。

RAW データを閲覧する

RAW を Android スマホで閲覧するには、RAW に対応しているアプリが必要です。ここでは、Google フォト アプリを例に解説します。

手順は以下のとおりです。

  1. Google フォト アプリを開きます
  2. 閲覧したい画像を選びます。RAW の画像は RAW バッジが表示されます※1
Google フォトで RAW バッジが表示された画面
  1. RAW の画像を閲覧できます。
    画像ファイルは JPEG + RAW 形式で保存されます。RAW と表示されているタイルをタップすると、 RAW が表示されます
Google フォトで RAW を選択、表示する画面

※1 解像度 50 MP で撮影した場合、RAW バッジではなく高解像度バッジが表示されます。

RAW データを現像(編集)、JPEG に変換する

Google の写真編集アプリ「Snapseed」は RAW データに対して、露出や色温度など 8 項目の画像調整ができ、JPEG で書き出すことも可能です。

また、Google フォト アプリと連携して、手軽に RAW データを現像したり、JPEG に変換することができます。操作手順は、以下のとおりです。

※Snapseed アプリは Google Play ストアから無料でインストールできます。
※Snapseed は一部の RAW 形式に対応しています。詳細はヘルプセンターの RAW ファイルの編集をご覧ください。

RAW データを現像(編集)し、RAW のまま保存する

  1. Google フォト アプリで、RAW の画像を選択します
  2. 編集アイコン 編集アイコン をタップします
  3. [RAW エディタの選択] 画面が表示されたら [Snapseed] をタップします。[選択したアプリをデフォルトとして設定する] をオンにすると、次回から本手順(手順 3)を省略できます
RAW エディタの選択画面
  1. 画像を縦にスワイプするか、編集アイコン 編集アイコン をタップすると編集メニューが表示されます
Snapseed の編集メニューを表示した画面
  1. 編集メニューを上下にスクロールして画像調整する項目を選び、左右にスライドして効果の強弱を調整し、右下のチェックマーク チェックマーク をタップします。左上の [完了] をタップすると、編集した RAW が保存されます

なお、手順 3 でデフォルトに設定した Snapseed アプリを解除したい場合は、ヘルプセンターのデフォルト アプリを設定する、設定を解除するをご覧ください。

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RAW データを JPEG に変換する】

RAW データを JPEG に変換するときの手順は以下のとおりです。

  1. Snapseed アプリを開きます
  2. 画面真ん中の [ + ] をタップして、JPEG に変換したい画像を選びます
  3. 右下の [エクスポート] をタップします
  4. [名前を付けてエクスポート] をタップし、右下の [保存] をタップします

エクスポートをする際の画像形式(JPEG、PNG)や画質を変更したい場合は、手順 2 で画像を選んだ後、右上のその他アイコンその他アイコンをタップ → [設定] で表示される「形式と画質」から行えます。また、保存された画像は、Files by Google などのファイルアプリで閲覧できます。

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スマホでも RAW データを活用しよう

RAW は、撮影時の光の情報を圧縮せずにデータ化したものです。明るさや色味の補正がしやすく、理想の一枚に仕上げやすいのが特長です。一方、JPEG は現像しなくても手軽にシェアできたり、容量が軽いのが魅力です。

撮影してすぐに共有するような場合は JPEG での撮影で問題ないですが、撮影後に色味を調整したい場合には 画質の劣化を最小限に抑えて調整できる RAW データの良さが活きます。最近では Android スマホでも RAW 撮影や編集ができるようになってきました。Snapseed などの RAW に対応した写真編集アプリを活用して、RAW を上手に使いこなし、写真の表現の幅をさらに広げてみてください。

※本記事で紹介した内容は、Android のバージョンや機種によって異なる場合があります。
※本記事は、2025 年 10 月時点に Google Pixel 8(Android 16)で検証しました。

水色の Google Pixel 8 Pro で自撮り写真を撮っている人たち。

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